医薬分業について納得いかないこと2

こんにちは薬剤師の赤羽です。前回の続きです。シリーズで保険薬局における薬剤師の存在意義について考えていきます。

どうして、お医者さんで薬をもらえなくなったのか?

以前はお医者んで薬をもらうのが当たり前でした。それが薬を薬局でもらうことが当たり前になってきた理由はなんでしょうか?薬局が私利私欲を貪るために政策を誘導したのでしょうか?厚生労働省では次のような理由を謳っています。
医薬分業とは、医師が患者に処方せんを交付し、薬局の薬剤師がその処方せんに基づき調剤を行い、医師と薬剤師がそれぞれの専門分野で業務を分担し国民医療の質的向上を図るものである。(1)
医師と薬剤師がそれぞれの専門性を発揮して国民により良い医療を提供することが目的ということです。でも、これは綺麗事ですね。

建前と本音

本当のところは次のような目的と思われます。
いわゆる「薬漬け医療」「薬の過剰投与」の防止。(2)
以前は薬が非常に儲かるものでした。この状態は病院はとにかく薬をたくさん出した方が利益が出て良いということになります。患者を薬漬けにするように医療機関が誘導されてしまうシステムだったのです。このことが社会的に大きな問題になった(1989年)ことが最も大きな医薬分業の動機だったと思われます(3)。

医療システムの適正化

医薬分業が1990年代から急速に進んだ背景には「薬漬け医療」、「薬の過剰投与」が起こりやすいシステムの是正が背景にありました。薬を処方するところ(病院、診療所など)と薬を出すところ(薬局)が別ならばこの問題は回避できます。

薬局が山のようにできてきた

このように政策で医薬分業を推進した結果、医薬分業が急速に進み、調剤薬局が山のようにできたのです。1989年には約37,000件だったものが2009年には54,000件にまで増えました(1)。このように調剤薬局が増加したのは診療報酬による利益誘導が背景にあります。政策により調剤薬局という業態が非常に儲かるものになったのです。この結果、状況は本末転倒と言えるような様相を呈してきました。「薬漬け」は解消されましたが、診療報酬は増加してしまったのです(4)。

納得いかない

医薬分業を押し進めた結果、「薬漬け医療」は解消されましたが、医療費増大という問題には歯止めがかかりませんでした。また、非常に大きな問題は国民は調剤薬局を望んだわけでは無いという点です。国民の要請によって出現したのではなく、政策により創出された業態であるため、今改めてその存在意義が問われています(5)。引き続き、調剤薬局の存在意義につて考察していきます。

参考

1)平成23年版 厚生労働白書 98ページ
2)医薬分業政策の評価と課題 JR Iレビュー 2015 Vol.11, No.30, p42
3)医薬分業政策の評価と課題 JR Iレビュー 2015 Vol.11, No.30, p44
4)薬局が病院の周りにやたらと溢れかえる事情 東洋経済新聞 https://toyokeizai.net/articles/-/196018?page=3
5)2025年の薬局・薬剤師 藤田 道男/著

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