街の小さな薬局は無くなるのか?

こんにちは薬剤師の赤羽です。昨今、薬局に関して大きな規制緩和が始まろうとしています。規制緩和の波は薬局を2つに分けることになると思います。それは「超効率的な調剤システムとカリスマ薬剤師を抱える巨大薬局」と「地域に根ざした臨機応援な対応力の高い小規模薬局」です。

規制緩和による薬局業界の変化

薬局に関する大きな規制緩和は次の3つです。

  1. オンライン服薬指導の解禁(既に解禁)
  2. 調剤外部委託解禁(検討中)
  3. 薬剤師の在宅勤務解禁(検討中)

これらの規制緩和によりどのような未来がやってくるのでしょうか?
予想されるのは巨大テック企業による調剤業界の寡占です。アマゾンなどで商品を「ポチる」ように気軽に調剤を依頼することができるようになります。調剤は効率化された大規模工場でロボットにより行われ、充実した流通網を使って即日配達が可能になります。薬剤師による投薬はオンラインが主になり、薬剤師は自宅から日本全国の患者さんに対応することになります。

巨大テック企業で働く薬剤師は以下の2つに分かれると思います。

・ルーチン業務を粛々とこなすマニュアル薬剤師
・SNSなどで多くのフォロワーを抱えるインフルエンサー型カリスマ薬剤師(YouTuberのような存在です)

患者さんは薬剤師の話なんて聞きたくないと思えばマニュアル型薬剤師を選べばよく、しっかりと話を聞きたい場合はカリスマ薬剤師を選択することができます。薬剤師の収入格差も大きくなるでしょう。集客力、ブランド力のあるインフルエンサー型のカリスマ薬剤師はマニュアル型薬剤師の何倍もの報酬を得ることが可能になるはずです。

街の小さな薬局は生き残れるのか?

巨大テック企業はほとんどのシェアをとってしまうことになりますが、それでも小規模薬局が生き残る余地はあります。それは近隣医療機関、薬局、卸との強い連携により発揮される臨機応変な対応力があるからです。医師と相談しながら、薬を足したり引いたり、別のものに変更したり、短時間で最適な処方内容に調整することが可能です。薬の調達能力も高く、巨大テック企業以上の速度で調剤・配達が可能です。ただし、その効果が及ぶ範囲は狭いです。薬局から数キロの範囲が限界です。

逆に、街の小さな薬局で他機関との連携力がなかったり、臨機応変な対応ができない薬局は生き残れないかもしれません。

規制緩和で変わる街の景色

規制緩和により、巨大テック企業によるデジタル薬局と地域の小規模薬局の二極化が予想されます。病院の前にずらっと並ぶ門前薬局や医療機関の前にくっついている薬局は少なくなっていくかもしれません。

参考

限界費用ゼロ社会(ジェレミー・リフキン)NHK出版
不条理な会社人生から自由になる方法(橘玲)PHP文庫