こんにちは薬剤師の赤羽です。今回は運動すると消費カロリーが増えるのか調査しましたのでご報告いたします。
運動しても消費カロリーは増えません
運動すればした分だけ消費カロリーが増加すると考えるのが普通です。しかし、現実が異なることが研究からわかりました。人はどれだけ運動しても、しなくても、だいたい2000ー2500キロカロリーくらいの消費カロリーで変わりません。
では、運動することはダイエットに無駄なのでしょうか? まさしく、その通り。残念ながら体重を減らすという目的で運動は無駄です。
狩猟採集民族と欧米人の消費カロリーは同じ
東アフリカ・タンザニアで1万年前から変わらない狩猟採集生活を維持するハッザ族という部族がいます。この方々は1日に10キロ程度移動するくらい運動量が多いのが特徴です。ハッザ族の1日の消費カロリーを調査したところ、ほとんど運動しない欧米人と変わりないことが分かりました。
人類は運動で消費カロリーが増えても、他の部分の消費カロリーを抑えて調整してしまうのです。
(※他の部分の消費カロリーとは大まかに「基礎代謝」、「免疫」、「ストレス反応」、「生殖」です。「運動」が増えた分、他の要素の消費カロリーが抑制されます。)
これは非常に優れた自然の仕組みです。消費カロリーがどんな時でも一定に保たれている方が、生存に有利に働くのは自明です。ちょっと運動したくらいで消費カロリーが増えてしまったら、すぐに飢餓状態に陥り滅びてしまうでしょう。
これは人間だけの特性ではありません。動物でも同じです。「野生動物」も「動物園の動物」も体重が変わらないことがわかっています。動物園の動物はほとんど運動していませんが肥満になりません。
なぜ太るのか?それは食べ過ぎているから
ちなみに飼い犬や飼い猫が肥満になる理由は食べ過ぎです。人間も全く同じです。肥満の原因は運動しないことではなく食べ過ぎていることです。人類の消費カロリーは運動しても、しなくても変わりません。肥満の原因は完全に食べ過ぎにです。
肥満解消の方法は食べ過ぎないこと!
消費社会では食品産業がこぞって食べ過ぎるように努力しています。食品産業が成長するには人類を肥満にするしかありません。特に安価な食品(ジャンクフード)は食べ過ぎるようにできています。肥満解消ははっきり言って個人レベルでどうにかできる問題ではありません。なぜなら、天才たちが日々努力して私たちを肥満にしようとしているからです。メーカーは多額の研究費用、広告費用を投じて、過剰に食べさせようとしています。我々が食べ過ぎを防ぐためには、文明社会から離れるしかないのかもしれません。
参考
運動しても痩せないのはなぜか: 代謝の最新科学が示す「それでも運動すべき理由」ハーマン・ポンツァー、 小巻 靖子(草思社)