筋肉を大きくするには、きついトレーニングをしないと大きくならないのか?

こんにちは薬剤師の赤羽です。筋肉を増やしてムキムキになるためにはものすごく重いバーベルを持ち上げるなどのきついトレーニングをしないといけないイメージがありますね。それは本当なのでしょうか?調査してみました。なお、今回の調査結果はなんと前回の結果と相反する結果になってしまいました!(参照:前回のブログ

何が目的なのか?

目的に応じて最適な筋トレの方法は異なります。それでは筋トレにはいったいどのような目的があるのでしょうか?

筋肉を増やして、ムキムキになる
筋力を増やして、力を強くする

筋トレは主にこの2つの目的を達成するものと思われています。この2つの目的では最適な筋トレの方法が異なることが最近の研究でわかってきました。このことから面白いことがわかります。それはムキムキだからといって、力が強いとは限らないと言うことです。筋肥大による筋力への影響は50%ー60%程度です。つまり筋肉が10%増えても筋力は5−6%の増加にとどまるということです。確かに相撲取りの中でも千代の富士は小柄でしたが、歴代最強クラスの力士であることは皆さんも異論がないことと思います。見た目と力の強さは関係が思ったよりも少ないと言うことです。

ムキムキになるためには?

筋肉を増やしてムキムキになるには、以前は「高強度のトレーニング」実施することがゴールデンスタンダードとして推奨されていました(*1)。この時のセット間でのインターバル(休憩時間)は1分程度が最適とされてきました。短時間で一気に追い込む必要があると言うことです。現在ではこの定説が覆されています。強度は低・中強度(1RM(*2)の30%〜)でも筋肉が増えることがわかってきました。短時間で追い込む必要は無く、1週間単位でみた総負荷量だけが問題になります(*3)。これはどうゆうことかと言うと10キロダンベル運動に例えると下表の通りです。

1回の負荷 回数 セット数 日数/週 総負荷/週
10キロ 10回 5セット 3日 1500キロ
10キロ 5回 5セット 6日 1500キロ
20キロ 5回 5セット 3日 1500キロ

筋肉を増やすという観点だけでみると、「少ない負荷を数多くこなす」ことも、「大きな負荷を数少なくこなす」ことも総負荷量が等しければ同等であるということです。

まとめ

肉体を使う仕事、例えば引越し業者、運送業者の方などは総じて筋肉が発達しているように見えます。これは今までの筋肉増強メカニズムでは説明がつかない現象でしたが、ある一定以上(1RMの30%)の負荷の総負荷が重要という考えに基づくと理解できるようになります。また、苦しいトレーニングが必ずしも必要ないと言うのは筋トレの継続にも有益な情報です。次回は純粋な筋力(力の強さ)はどのようなトレーニングで強化されるのかを探りたいと思います。

参考文献

1)アメリカスポーツ医学会(ACSM)ガイドライン(2009)
2)1RMとは:トレーニングする人がなんとか1回だけ発揮できる力の強さ
3)Resistance exercise load does not determine training-mediated hypertrophic gains in young men J Appl Physiol (1985). 2012 Jul 1; 113(1): 71–77.
3)Effect of Movement Velocity During Resistance Training on Dynamic Muscular Strength: A Systematic Review and Meta-Analysis Sports Med . 2017 Aug;47(8):1603-1617.
今回のブログは書籍「科学的に正しい筋トレ 庵野拓将」を参考に作成しています。