こんにちは薬剤師の赤羽です。薬を飲んでいると副作用が気になります。人によっては「副作用が出やすい体質」だと思っている人もいるのではないでしょうか?このことを医師、薬剤師に話すとそんなことはないと言われて、がっかりすることもあると思います。では、副作用が出やすい体質が本当にあるのか深掘りしてみましょう。
ノセボ効果
西洋医学的には副作用は一定の確率で生じると考えられています。それなのに、複数の違う薬で毎回のように副作用が出るというのはおかしな話です。サイコロで何回も連続して同じ目が出るようなことです。この場合はノセボ効果(1)が疑われます。これは、副作用があると知ると自己催眠で具合が悪くなるという現象です。例えば、「この薬をのむと吐き気が出る」と事前に言われた場合、その薬が偽物(ラムネ)であっても吐き気が生じるという現象です。医師・薬剤師からみると副作用が頻繁におきると訴える人はノセボ効果を疑うことになります。この考えでは副作用体質というものは存在しないことになります。つまり、気のせいです。
東洋医学の考え方
東洋医学の考え方では副作用が出やすい体質があると言えそうです。東洋医学特有の疾患概念に「寒証」というものがあります。これは簡単にいうと「体が冷えてる」ということです。寒証がある場合は頭痛、下痢、だるさ、頻尿などさまざまな症状が起こります。この寒証には内因性(体の内側から生じるもの)と外因性(体の外側から生じるもの)があります。内因性の寒証とは体質や生活習慣などの影響で慢性的に体が冷えている状態です。外因性の寒証とは冷たいものを食べすぎたり、寒さの影響などで生じるものです。内因性の寒証が生じている人は容易に外因性の寒証なってしまいます。健康な人は冷たいアイスを食べても下痢にはなりませんが、内因性の寒証の人は下痢になります。
この考えを拡張すれば「慢性的に弱っている人は、外部環境の変化の影響を受けやすい」と言えると思います。
副作用が出やすい人は
健康な人は外部環境変化に対して寛容ですが、弱っている人は敏感です。これは当たり前に受け入れらる考え方です。薬も外部環境変化と考えれば、弱っている人は副作用が起きやすいというのも合理的な結論です。
参考文献)
1)ノセボ効果
2)山本巌の臨床漢方(上)坂東正造、福島稔明(メディカルユニコーン)p150