規制緩和・グローバル化は良いことか?

こんにちは薬剤師の赤羽です。規制緩和・グローバル化と聞くと一方的に良いことのように感じます。本当に規制緩和・グローバル化された社会が素晴らしい理想的な社会なのか考察してみます。

規制緩和は素晴らしい!

規制緩和により、国営企業が民営化されたり、グローバルな経済活動が可能になったりします。民営化、グローバル化と聞くと我々は正しいこと、善いこと、だと感じます。一方、規制強化、国有化、反グローバルなどと聞くと我々は悪いことだと感じます。規制緩和、民営化が良いことだと感じているのは「新自由主義(1)」というイデオロギーの影響が大きいと思います。新自由主義とは民間の自由な競争を奨励し、国の関与を最小限にすることが国民の幸福に寄与するという考え方です。これは経済に任せておけば、市場が自動的に問題を解決し、国民を幸福にしてくれるという「古典派経済学(2)」の流れを組むイデオロギーです。

便乗値上げは善いことだ?

便乗値上げについて皆さんはどう思いますか?自然災害が起こった地域では日常生活用品などの供給が滞るため、一気に需給バランスが崩れます。この時、便乗値上げが起こります。通常100円で買えるミネラルウォーターが1000円になってしまうような状況です。実際に日本でも2019年9月に起こった台風被害(千葉)の屋根の修理でこの現象が話題になりました(3)。古典派経済学では便乗値上げは良いことだと考えます。なぜなら、被災地で他地域よりも高額で商品が売れたり、高額な修理費用がまかり通るなら、日本全国から業者が集まります。その結果、被災地の物不足が速やかに解消される結果が期待できます。ものが集まれば価格も自然と落ち着いてくるので、政府は下手な介入をせずに便乗値上げを黙認すべきだということです(4)。

便乗値上げが引き起こす悲劇

政府が規制せず便乗値上げが野放しにされれば当然問題が起こります。被災地の人はただでさえ大きな被害を受けて生活が苦しいのに経済的にも負担を負わされます。規制しないことがどのような苦しみを生み出すのか考慮する必要がありそうです。

グローバル化は絶対正義?

ものの生産、購入が自由にできることはとても善いことだと思いますよね?我々は自由にどこの国で作られた製品でも購入できるべきです!同じ品質なら、値段が安いものを購入できることが消費者の重要な権利でしょう。これはグローバル化の基本理念です。例えば全く同じ品質のジーパンだったら、わざわざ日本製である必要はないでしょう。インターネットで一番安いものを買えばいいです。お肉もそうです。同じ栄養、似たような味ならわざわざ値段の高い日本産を選ぶ必要はありません。アメリカ、オーストラリアなどのお肉で十分です。

グローバル化が引き起こす悲劇

インドではイギリス産の綿織物のせいで、古くから発展してきた綿織物工業が壊滅的被害を受けました。イギリスはもともとインドから良質な綿織物を輸入していましたが、産業革命で大量の綿織物を安価に製造することが可能になったため、その売り先としてインドを選んだのです。インドの綿織物産業はイギリス産の安価な綿織物に駆逐され、低利益な綿花の原産地としての役割を押し付けられることになりました。その結果、インドの農村は困窮し、長期間続く貧困に苦しむことになったのです(5)。また、グローバル化は勝者と敗者をはっきりとわけてしまいます。綿織物の件で考えればイギリスが勝者ですが、インドがこの状況を逆転することは困難です。インドがこの状況を逆転するには高い関税をかけて国内産業を保護する政策が有効です。しかし、高い関税は反グローバリズムの象徴で「悪」というイメージがありますよね?

本当に規制緩和・グローバル化は正義なのか?

便乗値上げの悲劇、インドの悲劇についてみてきました。規制緩和、グローバル化は勝者に恩恵をもたらし、敗者に悲劇をもたらします。それでも、規制緩和、グローバル化を無批判に支持することができますか?たまたま自分が勝者の側にいるからと言って、苦しむ人たちは自己責任だと切り捨てられますか? 人間は他者が幸福でないと自分も幸福になれない動物です。勝者が敗者を気遣わない世界は不幸な世界です。

参考文献

1)Wikipedia 新自由主義
2)Wikipedia 古典派経済学
3)千葉県で被害が多発! 台風15号被害の便乗商法、悪徳業者に要注意
4)これからの正義の話をしよう マイケル・サンデル (ハヤカワ文庫)
5)世界史の窓