こんにちは薬剤師の赤羽です。今回は高齢者の体調不良が悪化しやすい理由を考察してみたいと思います。
コロナ感染症でも、高齢者は若者と比べると重症化率、致死率が高いことが知られています(1)。コロナに限らず骨折、インフルエンザ、便秘などの怪我や疾患により思いがけず重症化するケースが多いです。これは歳をとっているんだから当たり前ではありますが、あえて考察してみたいと思います。
人間の体は複数のシステムで構成されている
人間の体は複数のシステムの集合体と考えられます。栄養吸収システム、呼吸システム、排泄システム、血液循環システムなどです。これらのシステムは相互に依存しており、お互い影響を及ぼし合っています。隣接するシステムが障害を受けると、連鎖してシステム障害を起こす可能性があります。一方、システムに余裕があれば隣接するシステムの障害を代償し、影響を最小限にとどめることも可能です。
高齢者のシステムと若者のシステムの違い
高齢者は個々のシステムが脆弱になっており、1箇所のシステム不良が隣接するシステムに波及しがちです。そのためちょっとした不調の影響が広範囲に及びます。例えば、感染症で肺炎になることで呼吸システムが不調を起こすと、隣接するシステムである血液循環システム、血液浄化システム、排泄システムなどが連鎖的に不調をおこし重症化してしまいます。連鎖は指数関数的な現象なので、大丈夫だと思っていたら、あっという間に重症化します。
一方、若者では個々のシステムが頑健なので、1箇所のシステム不良なら、隣接するシステムの代償によりカバーできることが多いです。そのため、ちょっとした不調なら、影響を狭い範囲にとどめることができます。例えば、感染症で肺炎になって呼吸システムが不調になっても、血液循環システムなどの隣接するシステムで代償し、症状の悪化を最小限にとどめることが可能です。
高齢者ほど、少しの体調不良に注意するべき!
それゆえ、高齢者は若者と比較して、ご自身のちょっとした体調不良にも敏感になる必要があります。かかりつけ医が必要な理由はここにあります。
かかりつけ医が必要な理由
お医者さんに毎月罹っていて同じ薬を貰ってる方は、なんで、無意味に毎月通ってるのかと思っている方もいるかもしれません。しかし、高齢者は少しの不調が、あっという間に重症化につながるリスクを抱えているため、体調に敏感になる必要があります。少しの不調でもお医者さんや薬剤師に相談することで、大きな体調不良を回避することができるかもしれもしれません。積極的に相談相手として活用しましょう!
参考文献
1)毎日新聞記事