こんにちは薬剤師の赤羽です。ブラック企業や学校でいじめにあっている人に対して「辞めればいいじゃない」というアドバイスが良くあります。それが簡単にできないメカニズムについて検討します。
人間がとる3種類の行動
人間は3種類の行動をとります。「仲良しモード」、「戦闘モード」、「フリーズモード」です。
「仲良しモード」
人間の基本的な状態です。ほかの人間と協調し、仲良く過ごすための社交的な状態です。この状態では気持ちは落ち着いていてストレスは少ないです。
「戦闘モード」
ストレスな状況に対して対応する状態です。敵が来たり、環境の変化による脅威に対応するためのモードです。この状態では「戦う」か「逃げる」かを選択することになります。
「フリーズモード」
戦闘モードで対処できない状況に対応するための状態です。体は硬直し、活動を停止します。最も原始的なストレスに対応するための対応でいわゆる「死んだふり」です。
自分ではモードを選べない
このモードの選択権は自分にありません。環境に応じて自動的に選択されてしまうのです。基本的に「戦闘モード」までで対処できることが理想ですが、現代社会では簡単に「フリーズモード」に移行します。
ブラック企業、厳しい部活、厳しい先生などの脅威に直面したとき最初は「戦闘モード」で対応します。つまり、戦うか逃げるです。しかし、現代社会では世間体、階級などの抑圧により「戦闘モード」をつぶされてしまいます。その結果「フリーズモード」に移行します。このモードではもう何も考えられなくなります。会社や学校を辞めるなどの「戦闘モード」の行動はとれません。ただおとなしく、ストレスに耐えるだけになります。
外部から救出するしかない
「フリーズモード」に入った人に「辞めたらいい」などの声かけで救い出すことは難しいと思います。フリーズモードでは正常な判断力が失われているからです。対処としては家族や友人などの第3者が外部から救出する方法が有効です。病院に連れていく、会社に行かせない、学校に行かせないなどの強硬な手段を使うしかないでしょう。
参考
「ポリヴェーガル理論」を読む(津田真人)星和書店