こんにちは薬剤師の赤羽です。時代が大きく移り変わろうとしています。特に人の「評価基準」が大きく変わろうとしています。昭和時代の「外的評価」を重視する時代から令和時代の「内発的動機」を重視する変化です。自分の正義や意見をしっかり持って主張することができる人がかっこいい、競争よりも協調を良いことと考える優しい時代です。
外的評価とは
外的評価とは社会が一義的に設定し、おしつけてくる価値観の事です。昭和、平成の時代を生きてきた人たちには当たり前の考え方です。外的評価による価値観は「学歴」、「収入」、「就職した企業」、「資格」などの「能力」を示すとされる指標です。中世の日本では「身分」が主要な評価基準でした。中性から近代にかけて評価基準が民主化されたと言われています。それは「身分」に閉じ込められていた人間たちが「能力」主義によって階級社会を打倒したからです。しかし、階級社会から能力主義社会に移行したことで我々は幸せになったのでしょうか?アメリカでも日本でも能力主義による分断が深刻です。この分断は階級社会より深刻な部分があります。
階級社会の世界では上流階級の人も下層階級の人たちを見下すことは少なかった思います。なぜなら自分の身分は「生まれ」という運の要素が大きいと理解していたからです。近代以降の新階級主義である能力主義の世界では状況が全く異なります。上流階級の人間は下層階級の人間を心の底からバカにしています。自分の能力のなさ、努力不足が原因で下層階級にいるのだから、苦しむことは当然の報いと考えます。その結果、アメリカの白人貧困層と上流の知識階級(人種を問わない)の分断が深刻化し、ポピュリズムが幅を利かせる下地を作ってしまいました。白人はかつて黒人を差別していましたが、今では能力が高いものが低いものを差別しているのです。
このような社会では能力の証、上流階級であることの証が非常に大事になります。それは「肩書き」、「高級車」、「ブランドもの」です。特にブランドものはそうと分かるように大きくロゴが入ったものが好まれました。車が好きでもないのに自分が上流階級であることを立証するためだけに高級車に乗るひともいます。仰々しい肩書きもたくさんあります。また、忙しいことも能力を証明する大切な要素です。「24時間働けますか?」、「残業なんて当たり前」といったことが自慢げに語られていた時代です。
内発的動機を尊重する社会
令和の時代は昭和・平成時代の外的評価を否定的にみる価値観に移り変わりつつあります。それよりも、自分の理想をもち行動できる人を評価をし、多種多様な価値観を尊重する時代になりつつあります。このように人から押し付けられた動機ではなく自分自身の内側からくる行動原理のことを「内発的動機」と表現します。既に社会が一義的に求める「学歴」、「偏差値」、「収入」、「就職先」、「資格」、「肩書き」といった価値観は風化しつつあります。「競争して他者のものを奪うことが成功」とされていた昭和の価値観から「協調して他者と分かち合うことこそ成功」という価値観に大きく変化しています。
このような社会では高級車、ブランド物は嫌われます。特に大きなブランドのロゴが入ったアイテムは侮蔑の対象になるでしょう。そのようなものを所有する人は「競争により人を打ち負かして傷つけ、人と分かち合わず、独占する、利己的な環境の破壊者」だからです。残業や休日出勤なんてもってのほかです。
未来は暗くない
ニュースを見れば暗いニュースが多く悲観的な未来しか描けない昨今です。しかし、悲観することはないと思います。社会の価値観が大きく変化しているからです。若い人たちはその変化を鋭敏に感じ取っていて「競争を嫌い、協調を良しとする」行動をとりつつあります。きっと優しい世界が作られていくと思います。