こんにちは薬剤師の赤羽です。前回取り上げたタンパク質と腎臓の関係についてさらに掘り下げたいと思います。
前回はタンパク質の中でも赤身肉の摂取は腎機能を悪化させる可能性があることが分かりました。具体的に、どのくらいの赤身肉を食べたら、どのくらいの腎機能が悪化するのか見てみましょう。
シンガポールで行われた大規模実験の結果
シンガポールで赤身肉の摂取と腎機能の関係を調べた大規模実験が行われました。63,257人の中国系成人を15年にわたって追跡しました。日本人と同じアジア系での結果ですので十分参考にできますね!
Q1 | Q2 | Q3 | Q4 | |
赤身摂取量 (g/日) | 12.5 | 24.2 | 33.4 | 48.8 |
総蛋白摂取量(g/日) | 53.1 | 57.6 | 60.5 | 65.3 |
末期腎不全発生件数 | 185 | 255 | 252 | 259 |
被験者人数(年) | 233,198 | 231,836 | 233,469 | 234,143 |
発症率(年)% | 0.080 | 0.110 | 0.110 | 0.111 |
ハザード比 | 1.00 | 1.40 | 1.43 | 1.55 |
赤身肉の摂取量が多いほど末期腎不全が発症する可能性が増えていることがわかります。Q1とQ4を比較すると1.55倍のリスク増大であることがわかります。ただし、絶対的なリスクはそこまで大きくありません。末期腎不全に至る確率の差はQ1とQ4で0.03%(年)です。確かに赤身肉で腎機能低下のリスクは上がりますが、そこまで深刻なリスク増加ではないと思います。
他の肉はどうなの?
鶏肉、魚、卵、乳製品、大豆・豆でも同じように摂取量と腎機能の相関が確認されていますが、リスクに変化がありませんでした。
まとめ
赤身肉を食べ過ぎると腎機能不全に至るリスクは確実に上がります。ただし、上がるリスクはそんなに大きくないので気にしなくてもいいと思います。赤身、魚、卵、乳製品、大豆は気にせずバランスよく摂取することがおすすめです。
参考文献
Red Meat Intake and Risk of ESRD.?J Am Soc Nephrol.?2017 Jan;28(1):304-312. doi: 10.1681/ASN.2016030248. Epub 2016 Jul 14.