ふこんにちは薬剤師の赤羽です。
今回はコレステロールの影響の男女差について掘り下げたいと思います。
女性はコレステロールの影響を受けづらい?
男性と女性でコレステロールの影響を比較してみました。男性と比較すると女性はコレステロールの影響で冠動脈疾患(心臓の血管の病気)、脳梗塞になりづらいです。実際のデータを見てみましょう(*1)。
男性 | 女性 | |
発症率(注1) | 12.9 | 4.6 |
注1:1000人/1年
ではこのデータが得られた人たちの基礎データを見てみましょう
年齢 | 60歳 |
血圧 | 132/78 |
総コレステロール | 249 |
LDL | 159 |
HDL | 58 |
TG | 50 |
基礎データをみてどう思いましたか?LDLコレステロールが基準値より高いことがわかりますね。このぐらいのコレステロール値だと薬を服薬されている方も多いと思います。では薬を飲む意味について男女別に検証してみましょう。
女性はコレステロールを下げる薬の効果があまりない?
女性はコレステロールを下げる薬(スタチン)を服薬する効果が明確ではありません。実際のデータを見てみましょう!LDLコレステロールは20%下がりますが、発症確立に統計的な差は見いだされませんでした。
薬なし | 薬あり | リスク低下率 (%) |
|
LDL低下率(%) | ?4.9 | ?19.1 | |
女性発症率(注1) | 4.6 | 3.4 | 26% |
男性発症率(注1) | 12.9 | 7.6 | 41%* |
注1:1000人/1年
☆男性のみに統計的に薬が有効であることが確認されています。
男性では大きな効果が期待できますが、女性ではあまり意味がないことがわかりますね。このような傾向は以前より、複数の研究で指摘されていました。
女性は薬を飲まなくていいってこと?
ただし、60歳以上では発症率の性差が減少し服薬意義が増してきます。60歳以上の女性の実際のデータを見てみましょう!
薬なし | 薬あり | リスク低下率 (%) |
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発症率(注1) | 7.4 | 3.7 | 45%* |
注1:1000人/1年
☆統計的に服薬の効果があることが確認されています。
まとめ
女性の場合はLDLコレステロール160程度で服薬する効果はないかもしれません。ただし、コレステロールがもっと高い場合や、60歳以上の場合は服薬意義がありそうです。
参考文献
*1)Usefulness of pravastatin in primary prevention of cardiovascular events in women: analysis of the Management of Elevated Cholesterol in the Primary Prevention Group of Adult Japanese (MEGA study). Circulation.?2008 Jan 29;117(4):494-502. doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.106.671826. Epub 2008 Jan 2.