悪人のほうが善人よりも救われる?

こんにちは。薬剤師の赤羽です。今回は悪人正機説について考えてみたいと思います。

悪人正機説とは親鸞和尚が唱えた考え方です。親鸞和尚は鎌倉時代の僧侶です。

善人なおもて往生を遂ぐ、況んや悪人をや

(ぜんにんなおもておうじょうをとぐ、いわんやあくにんをや)

という言葉が有名です。この意味は「善人よりも悪人のほうが天国に行ける」ということです。

この言葉は現代人の苦悩を癒す効果があるかもしれません。

誤解された意味

悪人正機は非常に難解な言葉です。それは常識に反するからです。

常識で考えれば善人が天国に行き、悪人が地獄に行くものです。

悪人のほうが天国に行けるのならば、いっぱい悪いことをしよう!と考えてしまいます。

このような誤解が生じるのは「善人」「悪人」の定義が違うからです。
親鸞和尚の定義は以下のとおりです。

善人とは「自由意志があり、努力することで目標を叶えることができると考えている人」

悪人とは「自由意思などは存在せず、自分の思う通りにものごとをおこなうことなどできないとわかっている人」

現代人の苦しみ

現代人の苦しみは「善人」であることから生じています。現代人は自由意志があり、自己実現にむけて努力することで目標を達成することができると強く信じています。この思い込みが現代人の苦しみの根源です。

全ての人間のあらゆる状況は「たまたまそうなったに過ぎない」のです。努力をしたから報われた、怠けたからおちぶれたということはありません。

これが親鸞和尚の教えです。

生活習慣病

生活習慣病も同じです。高血圧、糖尿病、痛風、脂肪肝、動脈硬化、などは運動しない、暴飲暴食、など自己責任による病気だと思っている人もいます。しかし、これは違うというのが「悪人正機」の考え方です。誰が好きで病気になるでしょう?人間は本能的に無意味な運動を避けるようにできている。食料があれば、あるだけ食べようとする。そのように作られて生き物なだけです。

文明病

生活習慣病は現代社会が作り出した病であり、自己責任とは関係ありません。車社会、飽食の世界なのがその原因です。

医療機関の選び方

運動できなかったり、食事制限ができないことを責めるような医療機関を選ぶのは苦しい選択だと思います。自己責任を問わない、優しいお医者さんがいる病院がいいですね。

 

 

 

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